HISTORY, GRANITES OF SOUTH INDIA
DISCOVERED ON AD.1000s. CHOLA DYNASTY
THE BEGINNING OF GRANITES FOR MONUMENT
1981, Kunnam, Tamil Nadu, INDIA
インドの地で日本向け墓石、建材用石花崗岩の本格採掘がはじまったのは1975年からと言われている。
現南印度洋行の会長でもあり、インド花崗岩の生き字引とも言われている前野敏夫。
彼が南印度洋行の前身である商社に勤務していた際、初めてインドを訪れたのは1975年10月のことであった。
羽田空港からシンガポール経由で40時間を費やし辿り着いたマドラスの地は、日本とは比にならない強い日差しが照りつけ、刺激的なスパイスの香りが漂う都市であった。かくしてインド花崗岩を巡る旅は始まりを告げたのである。
BLACK COLOUR OF GRANITE
1981, Kunnam, Tamil Nadu, INDIA
インド黒とも呼ばれる花崗岩、KNM(クンナム)やPON(ポナチ)の歴史は古く、西暦1000年代、チョーラ朝がかの地を支配していた時代から工芸や建築用に石が使われていたと言われている。
インド黒が日本に輸入されてから40年以上の月日が経つが、その歴史全体から見れば微々たる期間に過ぎない。
南インドには世界遺産に指定された史跡が複数あるが、KNMの丁場にもほど近い「マハバリプラム」においては、海岸線沿いの岩石に直に彫刻を施した数多くの寺院や洞窟が点在しており、中でもグレーの花崗岩が採掘される「ハンピ」の石窟群を見れば、当時の技術の高さを感じずにはいられないだろう。
70'S INDIA, THE 3RD WORLD SOCIETY
1981, Kunnam, Tamil Nadu, INDIA
2000年代に入りITや自動車を中心に急速な経済発展を遂げ、大きな変貌を遂げようとしているインド。
今でこそあらゆる人間がスマートフォンを持ち、世界中の情報にアクセス可能な社会となっているが、1970年代中期のインドはしかし、現在とは比べ物にならないほどの過酷な環境であった。
まさに未開の地と言っても過言ではない暮らしの中で、特に丁場と呼ばれる採石場は何もない平原や山中に点在し、その地には自給自足の生活を送る人々も数多く存在した。それは原始時代のそれとさして変わらないものであった。
丁場の労働者の多くはそのような過酷な状況で汗を流し、石の採掘に励んでいたのである。